(2011年9月28日現在製作中です)

ステディカム自作道場

1 ステディカムとは?

 手持ち撮影したビデオを家に帰って再生してみるとぶれて見にくいカットが必ずあります。特にぶれが著しいのは手持ちズームや歩きながら撮影した時です。ズームして走りながら撮影したらもう大変なことになります。
 ステディカムは歩きながら撮影する時に使う機械でステディカムにビデオカメラを乗せて使います。そうすると驚くように滑らかで雲の上を歩いているようなビデオが撮れるのです。
 ビデオ関係の機械は高価なものが多く、ステディカムも市販品は1万円〜数十万円、プロ仕様ともなると驚くような高価なものもあります。プロならともかくアマチュアでそこそこ使えるものとなると市販品は10万円位といったところでしょうか。ネットオークションなどを覗いていると最近では新品で1〜2万円と格安ステディカムも販売しているようです。また、重たいビデオカメラ用でなくコンパクトデジタルカメラやiPnoneなどが乗せられるステディカムもあり多くのメーカーからステディカムが販売されるようになりそうな気配です。

2 ステディカムの種類

 種類の前に「ステディカム」という単語は一般的な用語でなく、Tiffen社の商品名です。しかし一般的にステディカムという用語が使われているようです。移動式安定装置、ビデオカメラスタビライザーなどでは確かに何の機械かわかりませんね。
 ステディカムには本体が長い棒のようなタイプとアーチのようなタイプの2つのタイプがあります。
 長い棒のタイプはグライドカムやステディカムとも呼ばれますが「グライドカム」が一般的なようです。カメラを棒の上に固定し、棒の下にはおもりを取り付け、カメラとおもりを固定した棒の重心点の少し下を持って撮影をします。グライドカムタイプは超簡単に試してみることが出来ます。その方法は三脚にカメラを取り付けるだけです。カメラを取り付けて脚を伸ばした三脚を水平にした状態で人差し指等を使ってやじろべいのようにして重心を調べ、この重心の少しカメラ側を親指と人差し指で挟んで持ちます。これで撮影するだけでかなり安定したムービーが撮影できますのでお試しください。
 アーチのタイプは一般的にステディカムやマーリンとも呼ばれグライドカムよりコンパクトです。上部にカメラ、下部におもりはグライドカムと同じです。カメラの下に取り付けたジンバル(ギンバル)のグリップを握って撮影します。ちなみにマーリンも商品名です。

3 ステディカムの原理

 はっきりいって管理人あにまるっにはよくわかっていません。
 ステディカムに限らず一般的に重心は高いと不安定で低いと安定です。しかし、ステディカムでは重心を低くして完全に安定した状態でなく、微妙に釣り合いの取れている状態に設定しないとあの浮遊感のある撮影はできません。

4 ステディカムを自作

 ここではあにまるっが今まで研究したアーチ型のステディカムを自作する方法についてのノウハウです。とはいってもあにまるっの知恵だけでは無理です。Youtubeなどに自作ステディカムを投稿している世界中の多くの先輩を参考にさせていただきました。

5 ジンバル(ギンバル)

 ステディカムの最重要パーツであるジンバル(ギンバルが正しい発音かも知れませんがジンバルが一般的なようです)の部品は市販している工作部品を流用します。多くの自作派は、ユニバーサルジョイント、カメラ雲台(三脚)、フリーベア、リンクボール、ボールベアリングを組み合わせています。

6 ユニバーサルジョイントで一番手軽に入手できるものにボルトナットを締め付ける金属工具があります。ホームセンターなどの工具売り場で入手出来ます。ジョイントしているピンなどを抜くと中にバネが仕込まれているようで自作派はユニバーサルジョイントを一度分解してこのバネを抜いてから使っているようです。ジンバルにはボールベアリングと組み合わせます。

7 模型で使われているユニバーサルジョイントでステディカムで良く流用されるのはラジコンカーメーカーTraxxasのプラスチック製ユニバーサルジョイントです。模型店等で千円程度で入手できます。販売しているものは組みあがっていないのでプラスチック製シャフトと金属製ボールジョイントをはめ込む必要があり、プラスチック製シャフトが長いものはパイプカッターなどで切って使います。プラスチック製シャフトであることから永久に使用できる部品ではなく、使用頻度によりますが経験から1〜2年は使える感があります。Tiffen社のジンバルも永久的なものではなく補修部品の中にジンバルが入っています。なお、Traxxasからは金属製のユニバーサルジョイントも販売されているようです。また、タミヤ製広角ユニバーサルドライブシャフト(金属製)、船舶模型用ユニバーサルジョイント(金属製)もよく使われています。あにまるっが利用しているTraxxas社製#1951はプラスチック製ユニバーサルジョイントで、オスのシャフトにはM4ねじ、メスのシャフトにはM8ねじがピッタリです。M8ねじにはスケートボード等で使われるボールベアリングがピッタリなのであにまるっはTraxxas#1951派のひとりです。でも金属製も試してみたかったので秋葉原の千石でレインボープロダクツ製ユニバーサルジョイント(金属製)を二千円位で購入しました。
 
8 自作派の皆さんはカメラ雲台(三脚)もよく流用してます。三脚はカメラの角度が自由に変えられるボールジョイントタイプで角度を固定するネジを緩めることでユニバーサルジョイントのようにブランブラン状態になります。三脚部は3本まとめて手で持つグリップに、カメラ固定ネジはそのままカメラ固定に使えるので工作がほとんど必要ありません。三脚は100円ショップ等で売られているものもあるので格安ステディカム自作派には最適です。ただし、100円ショップの三脚の中にはジョイント部がプラスチック製のものがありますので耐久性の点からジョイント部は金属製のものを選んだほうがよいと思います。カメラ雲台ではジョイント部が金属製のものが多いように思われます。カメラ雲台(三脚)ではボールベアリングを使っていないようです。

9 フリーベアを加工している自作派もかなりいます。機械部品を取り扱っている店などで入手できるフリーベアはちょうどパソコンのトラックボールのような形で球が少ない抵抗でコロコロ動く部品で、ベルトコンベアのような荷物搬送をする時にベルトのかわりにフリーベアを並べることで楽に搬送するための部品です。フリーベアには上向きと下向きがあり、バネが仕込んであるタイプもあります。フリーベアをジンバルに加工する方法として、1)大きな鋼球にボルトをロウ付けする、2)大きな鋼球にネジ穴を開ける、3)鋼球に穴を開けるのは困難なのでプラスチック製球にネジ穴を開ける、4)フリーベアは小さなスチールボールを敷き詰めた本体に大きな鋼球をはめ込んだ構造なのでフリーベアを分解して引き出しツマミなどとして販売しているネジ穴付ステンレス球と交換するなどがあります。また、大きな鋼球にボルトの頭を球に合わせて削って接着する方法もありますが特殊な機械でないと加工できないと思います。

10 ボールリンクは金属製(鋳物)で機械部品や自動車部品を扱っている店で入手できますがホームセンターでは入手できないと思います。小型でテフロン加工されているものはラジコン模型店で入手でき、このボールリンクを使った動画を見たところ浮遊感がありかなりいい出来でした。ただ、かなり小型の部品なので大きなビデオカメラは乗せられないと考えます。ボールリンクのうち自動車部品でゴムブーツがかぶっているものではブーツを外したほうが動きがよいようです。ボールリンクの
代替品として球面軸受という部品があり、スケートボードのボールベアリングとほぼ同サイズのものをボールベアリングと入れ替えたところステディカムの荷重により動きが鈍くなる現象を確認しました。

11 ジンバルのグリップに流用しているものには、1)懐中電灯、2)水道部品、3)三脚、4)その他があります。懐中電灯は分解し、ボールベアリングを内部に取り付けるます。水道部品では塩化ビニル製の13mm規格のパイプ接続部品の内径とスケートボード用ボールベアリンの外径がほぼ同じなのでパイプ未加工のままグリップとして使えます。その中でも大手ホームセンターの水道部品売り場でMCユニオンと呼ばれる灰色の水道用塩ビ部品は
ちょうど握りやすいサイズで、滑り止めにちくわを大きくしたスポンジグリップを被せるとベターです。三脚は3本をひとまとめにしてMCユニオンと同じようにスポンジグリップをかぶせる方がおおいですね。その他の部品では良く見つけたなあと感心するのはボールベアリング入り縄跳び、これはグリップとベアリングがセットになっている優れものです。また構想中の部品として、スキーストックのグリップ、つえのグリップのようなプラスチック製グリップがつかえそうです。

12 本体の材質は、1)スチール、2)アルミ、3)塩ビパイプなどが使われます。